【小暮洋史事件】愛した女性を殺し逃げ続ける男──逃亡13年目の真実と行方を追う

序章：逃亡犯・小暮洋史とは何者か

日本全国には現在も、捕まっていない指名手配犯が存在する。
その中の一人が、小暮洋史（おぐれ・ひろし）。
彼は殺人事件の容疑者として全国に指名手配されており、今なお警察の追跡をすり抜けて逃走中だ。

小暮が起こしたとされるのは、2011年に起きた埼玉県和光市での殺人事件。
彼は交際していた女性を自宅で殺害した後、現場から逃走。
以来、10年以上にわたりその足取りはつかめておらず、日本でも有数の“長期逃亡犯”として名前が挙げられている。

2011年8月14日、埼玉県和光市内のアパートで、当時33歳の女性が首を絞められて殺害されているのが発見された。
遺体は浴室内に遺棄され、毛布にくるまれていた。

被害者は小暮と交際しており、事件当日も彼と一緒にいることが確認されていた。
しかし、通報によって駆けつけた警察が部屋に到着した時には、小暮はすでに姿を消していた。

室内には争った形跡があり、現場の状況から殺害後に遺体を隠したうえで逃走したとみられている。
警察は当初から小暮の関与を疑い、数日後には殺人容疑で全国指名手配に踏み切った。

事件の背景には、交際のもつれや金銭トラブル、独占欲による支配の欲望があったとされる。
小暮は被害者との関係が悪化していたにもかかわらず、一方的に関係の継続を望んでいた。

被害者の知人の証言では、「彼女は小暮からの束縛や暴力に悩まされていた」と語っており、事件以前からDVやストーカー的な行動があったことが浮かび上がる。

殺害は衝動的なものだったのか、それとも計画的な犯行だったのか──
その判断すら、小暮が捕まらない限りは永遠に明らかにはならない。

1978年10月4日生まれの小暮洋史。事件当時は32歳だった。
一見おとなしい性格で、人当たりも良く、職場では「礼儀正しい青年」として知られていた。
しかし裏では、短気で支配欲が強く、恋愛関係では極端に依存する傾向があったという。

職場ではトラブルこそなかったが、プライベートでは複数の女性との関係が問題となっていたという情報もある。
この“表と裏の顔”を併せ持った人物像こそが、事件の異常性を際立たせている。

小暮は事件当日の夕方までに現場を離れたとされており、
その後、公共交通機関を利用して関東圏を移動した形跡がある。

しかし、携帯電話やクレジットカード、銀行口座などの記録は事件直後から完全に途絶えており、
彼が逃走前から準備していた可能性があるとみられている。

防犯カメラには一時、都内の駅構内での姿が映っていたが、それ以降の情報はない。
10年以上が経過した今も、彼がどこでどのように生活しているかは不明である。

事件から10年以上が経過しても、小暮の指名手配は継続されており、警察庁のHPにも掲載されている。
顔写真や身長（約168cm）、体重（約70kg）、特徴などが公開され、
「見かけたら110番通報を」との注意喚起がなされている。

だが、懸賞金の対象にはなっておらず、情報提供の動機づけが難しいという課題もある。
また、逃走中に整形や偽造身分証の入手があれば、特定はさらに困難になる。

事件当時はローカルニュースで報じられたが、全国的な注目はそれほど高くはなかった。
そのため、記憶に残っている人も少ない事件の一つとなっている。

しかし、近年のSNSやYouTubeなどでは、未解決事件として取り上げられることが増えており、
「まだ捕まってないの？」「どこに潜伏しているのか」といった声がSNSで散見される。

現代では、ネットの拡散力が重要な捜査手段になり得る。
情報を風化させないことが、事件解決の鍵となる。

被害者の家族はメディアへの露出を避けているが、
匿名を条件にこう語ったとされる。

「もう10年以上、事件が終わっていない。
彼が逃げている限り、私たちはずっと立ち止まったままです。」

小暮洋史が逮捕されなければ、法の裁きはもちろん、遺族の気持ちにも“区切り”は訪れない。
未解決という状況は、被害者側にとって“終わらない事件”であり続けるのだ。

10年以上の逃走生活を送るには、
■ 偽名での就労
■ 非正規滞在者としての生活
■ 反社会的勢力との接触
などの手段が考えられる。

一部では、「小暮は地方の港町で日雇い仕事をしている」
「外国人コミュニティに紛れて潜伏している」といった情報も出回っているが、確証はない。

警察は引き続き、指名手配リストに小暮の情報を掲載し、全国の交番・空港・駅・病院などへの注意喚起を行っている。

日本では年間数百件の殺人事件が発生し、その多くは解決されている。
しかし、こうした逃亡犯が存在し続けている限り、私たちの社会は完全に安全とは言えない。

小暮洋史の事件を通じて問われるのは、「時間が経てば許されるのか？」という倫理観でもある。
社会全体で記憶し、語り継ぎ、警戒することでしか、再発や見落としを防ぐことはできない。

逃亡犯・小暮洋史の事件を追って感じたのは、「人は見かけによらない」ということでした。
一見誠実で普通に見える人物でも、背後には恐ろしい顔が隠れていることがある。
この事件は、それをまざまざと見せつけてきます。

いまだ捕まっていないという事実が何より怖い。
この情報が一人でも多くの人に届き、事件が少しでも前進することを願っています。